人は「お人柄」が9割

最近子どもたちが熱心に見ているのは人気YouTuberの動画。横から覗くと「686万回視聴」の文字。これはものすごいコンテンツを提供しているのだろうと私も視聴。しかし、その内容はシンプルなものだった。特別な技はなく、ポピュラーなゲームにはじめてチャレンジし、失敗したり、成功したりしてゴールまで進む…というもの。お隣のお兄ちゃんがゲームに奮闘しているのを横で見ている感覚。でも、いくつか見てるうちに、その魅力に気が付いた。人気YouTuberは視聴者が感じるところで同じように感じてくれていて、とても素直に、気持ちいいくらいまっすぐにリアクションしてくれる。さらに謙虚で、常識があって、なんというか「とっても普通」なのだ。世の中の大半がこういう人であろうと思いながらも、滅多にいないという「普通の人」。そのお人柄が視聴者を心地よくさせ、「あの人どうしてるかな」と、再びチャンネルをセレクトしてしまう…。 
 思えば、作家を気に入る時も同じで、超人気作家であっても「普通の感覚」を大切にしている人に引かれる。作家自身を投影したであろう小説の主人公の考え方に共感し、社会現象についてコメントしたエッセーの見解に大きく頷いてしまう。やがて、その作家が気に入りとなり、また次の作品を読みたくなる。バランスが良く、物事に聡明な判断ができる素直で飾り気のない人。そんな人、実はほとんどいないんだと思う。だからこそ、その要素を兼ね備えた「お人柄」に指示が集まるのではないだろうか。
 でも、それは特別なことは何もしなくていい、ということではない。きっと、たくさん努力し、考え、多くを乗り越えたからこそたどり着いた「お人柄」なのかもしれない…と、思うのだ。

 文・関千里 絵・田上千晶





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