あこがれの自給自足


自然に囲まれた田舎で、のんびりと暮らしてみたいと、地方の不動産情報を探っていた。そんな私に、田舎暮らしをはじめた友人が厳しいひと言。「田舎に住むということは、その“土地の人”になるということ、長期滞在の旅行者気分では暮らせないよ」。
その地の自治に参加し、人間関係を築く努力が必要と教えてくれた。勝手気ままな暮らし……というわけにはいかないのだ。
そこで急きょ、計画を軽井沢の別荘に変えた。が、今度は軽井沢に住む友人が、寒冷地の戸建での夏の湿気と冬の冷気との闘いについて熱く語ってくれた。
柔な都会もんが、老後にそんな試練に耐えられるのか。計画はさらにリゾートマンションへと変更。温泉やジム、レストランもついて快適だ。が、素敵な物件はどれもかなりの高額で管理費も高い。

ということで、憧れは憧れのまま。シーズンオフに安めのリゾートホテルの空室を探す日々である。

文・関千里 絵・田上千晶


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