人生を変えてくれる本

ラーメン店の行列に並ぶがごとく、スーパーで人気NO.1のワインに手を伸ばすがごとく、本屋店頭に平積みされた「話題の本」を手に取ってしまう私。

これは、7年前のこと―――

『超訳　ニーチェの言葉』って今、何十万部も売れているらしい。そのとなりの新片づけ術の『断捨離』の山もすごい。それぞれの帯には

「人生を最高に旅せよ！」とか、「片づけで人生が変わる」との力強いフレーズが。

この「人生が変わる」系キャッチコピー×「ベストセラー」の表示の黄金コンビにめっぽう弱い。お金も手間もかけず、本のページをめくっていくだけで人生が素敵に変わっていく気がするのだ。高揚した気持ちでこの２冊を購入し、帰宅。本棚の扉を開け、沢山並んだ「これまで人生を変えてくれたかもしれない」ベストセラーたちの横に並べた。

―――７年後。私はちょっと進歩した。「話題の本」はカフェ併設のブックストアで斜め読みしてから必要なものだけ買って帰る。本棚で眠っていた本はフリーマーケットに。

「その本、ぜひ。人生変わるかもしれませんよ」と、手に取った方におススメしてみるのだ。

文・関千里　絵・田上千晶