知ったかハイテク家電


知ったかぶりは罰があたる。
数年前、雑誌の最新家電特集を見ただけで、さもハイテク家電を体験したかのごとく、人に触れ回ったことがあった。留守宅をひとりで掃除するロポットや空気で洗う洗濯機、羽のない扇風機などなど。つい話を盛ってしまい、「3Dテレビはすごいよ。もう3Dメガネがなくたって、映像が飛び出てくるんだから」と、大ウソをついてしまった。(メガネなしは当時開発中だった)。が、懲りずに最近は「これからの映画は立体映像。空間に映像が浮かび上がるようになる」とか、豪語してしまっている。ホログラム映像や、空気に絵が描ける技術が実用化されて、スター・ウォーズの世界が現実に!ほかにも3Dプリンター、ドローンが今後は……と、ついつい未来の進化を早送りしてしまうのだ。
そんなある日、駅に新型の飲料販売機が設置されていた。手書きの貼り紙には「ハイテクの音声認識機。声を出してオーダーせよ」とある。早速販売機の前に立ち「カプチーノ」と、叫んでみる。が、販売機は無反応。さらに大きな声で「カ・プ・チー・ノ!」と、叫ぶがダメ。繰り返すこと5回。すると、背後でクスクス笑う通行人の声が……。貼り紙は心ないだれかのいたずらだった。

文・関千里 絵・田上千晶

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