同世代連帯

ある本づくりの仕事で素晴らしい作品をつくるクリエイターに出会った。が、ちょっとルーズで納品はいつも締め切り過ぎだ。その話を別の仕事でパートナーを組んでいる若いデザイナーに漏らしてみた。すると、そのデザイナーは「そのクリエイター何歳ですか?」と。「ええと、私よりちょっと上みたいだからきっと50代前半かな」。「ああ、やっぱり。その世代はそういう方いますよね。僕らの世代はそんなことできないですよ。仕事こなくなっちゃいますから」。若きデザイナーは30代前半。バブル景気なんてきっと知らない。今の50代が仕事を始めた頃はバブル期の最後。多少やんちゃな仕事ぶりでも成果があれば評価される気運があった。才能溢れる自由人、でもちょっとルーズ……そんなスタイルに私も憧れていた。ルーズな仕事ぶりを実は理解できちゃう自分。これはもしかして同世代としての連帯責任かっ!? 


自分より上の世代を非難することはよくある。でも、きっと下の世代からみたら自分も同じ。「あの世代の人たち」ってくくられているんだろうな。ちょっと複雑な気持ちもあるけれど、否定もできない。自分が歩んできた時代。今振り返ると欠点も多かったけど、それなりに懸命に仕事したり遊んだりしたよな、と。なかなか愛すべき時代だったと思う。だから、同世代連帯も引き受けよう。そして、忘れちゃいけない。「今」という時代のメンバーであることにも。今の時代をどう生きるかが、自分たちの世代の最終評価になるのだから。

 文・関千里 絵・田上千晶



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