節電同志

暑いけど、昼間に自分だけのために冷房を入れるのはちょっと気が引ける。ということで、この夏は気がつくとデパートに通っていた。と、同じ目的でデパート通いをしているという年配の女性と会計の列で一緒になった。「デパートって涼しいですね」「冷房ってやっぱりいいですよね」と、いつの時代なのかわからないような会話を交わし、同じ心境の人がいると分かるだけでちょっと安心してみたり。

家電売り場でデモのマッサージチェアを試用したいたら、となりのチェアで「スマホばかり見てると肩が凝っちゃうのに、こう暑いと家でヨガもできなくて…」と、つぶやく人が。「実は私もなんです。まったく同じ状況で。こんな人ほかにもいたんですね！」と、思わずうれしくなった。涼みに来たはずが、なぜかちょっと心が温かくなっている。同志っていいなあ。ということで、夏のデパート通いはおすすめ。冷房はみんなであたれば節電だ。でも、魅力的な商品の前を素通りできなくて、財布の中身もちょっと涼しくなっちゃうかも。

　文・関千里　絵・田上千晶