会議NEWスタイル

 数年前に画期的と思ったTV会議はいまやポピュラーなスタイルに。全国に支社がある企業のTV会議のほか、海外のスタッフとスカイプで打ち合わせというのもよくある。話す人の方向にPCの画面をいちいち向けたりする滑稽さはあるが、「どこにいても打ち合わせできる」という利点はフリーランスにはありがたい。が、メリットばかりかというとそうでもない。女性はスカイプとはいえどもメークはばっちりするし、画面の背景にだって気を使う。油断すると壁に「帰ったらまず宿題をすること!」なんて子どもへの注意書きが貼られていたりする。急を要するスカイプ会議のためにメークが間に合わず、家の中なのになぜかサングラスをかけて画面に登場する…ということも。
 ある日。仕事の約束も宅配が届く予定もない日だったので、タンクトップに短パン、ノーメークでPCに向かっていた。原稿に気合を入れるため髪をちょんまげのように頭上で結び、人様にお見せできる恰好ではない。そこへ1本の電話。「あ、急で申し訳ないんですが今から20~30分、打ち合わせお願いしてもいいですか? こちらはスタッフ揃ってるんで」と、突然の画像出演依頼!? 家の壁には案の定家族の掟なる紙が何枚も。さて、どうする!? と、戸惑っていたら、「あ、電話で大丈夫です。こちらの電話スピーカーにしますね」と。会議には初対面の人もいたが、なんと4人のスタッフの声のちがいはクリアに聞き取れた。そして、私は臆することなく自分の意見を述べ、30分の会議は滞りなく完了した。
「アナログですみませんが、急ぎだったので助かりました」と、先方。映像がなくても十分話し合いができた。それに声だけ通信のおかげで全員集中して議題を検討し、無駄な時間もなく効率的に話し合いは前進。「すごい、オビ=ワン・ケノービやレイア姫が飛び出てこなくても会議できましたね!」。未来の通信会議はもしかしたら、画像が飛び出るホログラム通信なんてハイテクなものではく、案外もっとシンプルな装置になっているかもしれない。

 文・関千里 絵・田上千晶







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