いまどきのことば


10年ぶりの広辞苑の改訂で「若者言葉」の話題をよく耳にする。「まじ卍」とか「エボい」とか「リアタイ」とか…全然分からんっ! ということで、恐る恐る広辞苑に新採用された若者言葉を確認して、ひと安心。一応、すべて分かる言葉だった。かつて「ガラケー」を「柄つきの携帯」と思い込んで独自で多用し、大恥をかいた経験があるだけに、「いまどきのことば」には慎重になってしまう。自分自身が“ガラパゴス化”しないように、と。
そんなある日、小学校で「若者言葉は乱れ?」というテーマのディベートを参観する機会があった。黒板にずらりと並んだ若者言葉。子どもたちが思い思いに意見を出し合う。「言葉は道具だから略語など使いやすい方がいい」、「言葉は文化だから本来の意味を大切にするべき」と、それぞれごもっとな見解だ。はたして言葉は「道具」なのか「文化」なのか。正しさや品格はとても大事だけど、その時代ならではのアレンジも味があっていい。文化は“ガラパゴス化”することによって、ユニークで多彩な進化を遂げる。長い時を経ても色褪せない言葉もあるし、文化の消滅と共に消えていく言葉もある。そして、進化して姿を変えながら生き残る言葉もあるだろう。そう思うと、なぜかひとつひとつの言葉がとても愛おしく感じられる。10年後、「いまどきのことば」で生き残るものはどれだろう。

 文・関千里 絵・田上千晶


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