お宝の価値

 ゴールドの高騰で家の中の金製品を探す人が多いらしい。年数を刻んだ家というのは、実は気づかないうちにお宝を眠らせている可能性がある。しかし、実家ならともかく居住歴15年核家族のわが家はそんな話は無縁だ、と思っていた矢先。家族が日常使いしていたマグカップがネットのオークションで数万円で取引されているのを目撃! 北欧のキャラクターが描かれたイヤーマグカップで、毎年クリスマスに買って家族で愛用している限定品であった。「みんな~、そのマグカップ使うのやめて!」私の叫びにいつもの朝食の席で唖然とする家族。さっさとみんなのマグカップを回収し、ひとつひとつていねいに磨いて箱に収めてしまった。さらに、買い忘れた年のカップを確かめる。しまった、2006年と2008年の分がない。やっとのことでオークションで探しあて、数万円かけて集めた。あれから8年、マグカップたちは棚の奥にしまわれたまま。そして家族がつぶやく「あのマグ、みんな気に入ってたのにね」と。

 文・関千里 絵・田上千晶







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