ほろ苦い学生時代 ①

本棚を整理していたら昔、中学・高校時代に使用してた聖書が見つかった。ミッション系の女子校で、始業は毎朝15分の礼拝であった。後で知ったことだが、他のミッション系と比べても礼拝を毎朝する学校はあまりないらしい。懐かしく聖書のページをめくってみたら、「!」。ページのまわりの余白にぎっしりと4文字熟語が書き入れてある。他のページには数式、またほかのページには歴史の年号……。試験期間中、一夜漬けで勉強し、当日の朝、礼拝の15分間で何かひとつでも覚えようと最後のあがきをした痕跡だ。ああ、神様なんと愚かな生徒だったのでしょう。
 そういえば、こんなこともあった。毎朝遅刻ギリギリで校内に駆け込むため、玄関で靴を履き替え→教室のロッカーで聖書と讃美歌をピックアップし→講堂へ礼拝に。この正味2分くらい時間すらなく、前日、こともあろうか玄関の靴箱の中に聖書と讃美歌をセットして下校したりしていた。神様なんと無礼な生徒だったのでしょう。
 それでも間に合わず、なんとか登校後靴を履き替えずに直接講堂に向かう手立てはないか…と苦肉の策を。上履きは学校名を書けばどんなものでもいいとの規定だっため、上履きのような白いスニーカーで通学し、そのまま講堂に向かってしまおうという作戦。当時親にねだって買ってもらった立派な白のリーボックのスニーカー、新品でとにかく白く美しい。これなら上履きでもイケる。15歳の私はそう思った。神様なんと浅はかな生徒だったのでしょう。
 礼拝後、担任の先生が私の傍らにしゃがみ込み。「関さん、上履きに学校名がないですね。今つけてあげましょう」と、新品のリーボックのスニーカーに油性のマーカーで大きく学校名が印された。
 神様はなんでもお見通しだった。

 文・関千里 絵・田上千晶




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