余白のすすめ

見知らぬ地への出張。新幹線の駅から在来線を乗り継いで、取材目的地まで約4時間の旅だ。取材先の都合で遅刻は厳禁。そんなときは頼れる乗り換え検索サイト。集合時間10分前の時刻を設定し、少々複雑な旅程でも検索結果の指示通りに乗り継いで行けば間違いなく、ちゃんと目的の駅に着く。乗り換えサイトのおかげでどれほど無駄な心配ごとが解消されたことか…。もちろん、今回もサイト頼りだ。が、まもなく新幹線の駅に到着するという時に急にトイレに行きたくなってしまった。早朝出発で降車直前まで居眠りをしてしまったのがいけなかった。でも、今トイレに駆け込んだら降車駅を乗り過ごしてしまうかも。とりあえず我慢して駅のトイレに駆け込もう。が、駅のトイレには長蛇の列ができていた。乗り換え指示によると、8分後に在来線が発車してしまう。「仕方ないもう少し我慢して、次の乗り換えの駅トイレだ」と、モジモジしながら在来線へ。やっと次の経由駅に着いたが、今度は「トイレはどこ!?」と、右往左往。しかし、乗り換え指示によるとあと4分で別のホームの次の特急に乗車しなければ…「ええい、1本遅い列車にしちゃえ」と、サイトを再検索…が、ななんと次の特急は30分後。半ば泣きそうになりながら、特急の車両へ。「もうダメかもしれない…」と、思ったその時、「あった!」特急の中にトイレが!しかし、その前には子どもが順番を待って並んでた。「あの、先はいっていいよ」と、その子。よっぽど私の表情が緊迫していたのだろう。

 なんと情けないことか。次からは移動途中の「余白の時間」を設定しておなくちゃ。トイレ休憩だけでなく、途中でお茶やお菓子も買いたいしね。

  文・関千里 絵・田上千晶






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