メールでなく手紙
海外に住む友人に初通信。メールでもいいけど、あえて“距離を感じる”手紙をしたためてみることに。昔は旅先からよく手紙やハガキを出したもの。パリのサンジェルマンの教会の鐘を聞きながら、カフェで万年筆を走らせるなんてこともあったっけ。手紙は相手に遠い場所の空気や感触を伝えてくれる。遠い場所からの”想い”がモノとなって送られる味わい深さがあった。
ということで、わざわざ景色のいいカフェに便箋を持ち出した。今日は電子機器は使わない。手書きの文字に想いをのせていく。メールは何百通も交わした友人でも、手紙を書くのは初めてだ。久々の手書きのせいか名文が生まれていく。そして、そんな私の様子に隣席のマダムがやさしくほほ笑む……。
が、急に私の手が止まった。
漢字が分からないのだ。メールの作文に慣れ過ぎてこのところすっかり漢字を忘れてしまっていた。どうしよう。どうしても出てこない。
しかたなく、いそいそとスマホで漢字の検索をはじめた。
漢字が分からないのだ。メールの作文に慣れ過ぎてこのところすっかり漢字を忘れてしまっていた。どうしよう。どうしても出てこない。
しかたなく、いそいそとスマホで漢字の検索をはじめた。
文・関千里 絵・田上千晶