街で「歯のホワイトニング」の看板に足を止め、チラシを手にするおじいさんを見かけた。翌日、老舗百貨店内の高級靴修理店で、上質なブランドの靴を5足もメンテナンスに出しているおじいさんがいた。見た目はどちらもごく普通のおじいさん。特別派手なわけではない。もしかして最近、余裕あるおしゃれなおじいさんが増えているのではないだろうか。そんなことを考えながらの帰り道。流行りのロックバンドの曲の着信音が耳に入った。「もしもし」。その声に驚いて振り向くと、またまたおじいさん。こちらもかなりおしゃれのアンテナ立っていらっしゃいます。
おしゃれおじいさんたちに負けていられないと、私も歯科クリニックへ。が、「ホワイトニングもいいですが、先に虫歯を治療してからね」と。
余裕なしの私はおしゃれおじいさんたちに完敗だった。
文・関千里 絵・田上千晶