メンテナンスの魔法
新年を迎えてもなお、掃除が続いている。長年使ってきた道具たちをさらにピカピカにしているのだ。口コミでたどりついたスーパークリーナーで10年愛用の鍋の底を磨く。昔に夫から贈られたカシミアのセーターの毛玉をひとつ残らずきれいに取る。白の革のバッグをクリーニングに出して、短くなった子どものマフラーを編み足す。今まで、時間がないからできない…と思ってにいたことを、時間を作ってやってみたら、それはなんとも幸せなひとときなのであった。捨てられないから取って置く、というのではちょっとさみしい。“一生モノ”って、高品質でデザイン性が高い、というだけではなく、愛情をかけてメンテナンスすることによって、“逸品”になっていくものなのかもしれない。冬の休日、そんなことを思いながら、温かいお茶をお供にいそいそと作業をしている。
文・関千里 絵・田上千晶