お砂場デビュー

 


休日の公園は大にぎわい。元気に声を出して子どもと遊ぶ若いママたちを横目に、アラフィフの自分は目立たないようにしていた。一方、砂場の脇で佇む我が子。中に入って遊びたいが、どうしたらいいのか分からないらしい。「じゅあ、ママがお山をつくってあげるね」と、シャベルを取り出した。砂のお山は簡単そうで難しい。水分を調節して山の形に固めるのにひと苦労。が、砂の山を前に、まだじっとしている我が子。「じゃあ、トンネルもつくってあげよう」。トンネルはもっと難しい。山をもっと大きくして、なんとか穴を掘ることができた。子どもはやっと遊び始めた。私はいつの間にか上着をすべて脱いで、長い道路と、湖もつくっていた。そして気が付けば、公園中の親子が砂場に。「トンネルはこのシャべルがいいですよ」「そこ、崩れるから気をつけて」「順番守ってね」と、私の指示で、みんなで砂場に大きな街を建設。しまった! 年上力、こんなところで発揮してしまった。

 文・関千里 絵・田上千晶





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