もう一度、一年生



   子どもと初の水泳教室。幼児は親が一緒にプールに入る。二人分の水着を持って週一せっせと通い、「今日は顔が水につけられたね」と、小さな進歩でも大喜び。中には週に3回も通う熱心なお母さまも多い。次に、音楽系の習い事をはじめ、家で共にレッスンし、その後は毎日一緒に幼稚園に通い、小学一年生になったら、宿題を見て、自由研究に頭をひねる。学校でお友だちできるかな? お勉強ついていけるのだろうか? 親は気持ち的にもう一度、一年生から学校生活を始めることになる。自分ができなかったこと、かなわなかった夢を子どもに押し付けないようにと、今から自身に言い聞かせているが、思い出されるのは、泳げず、プールサイドでくすぶっていた小学生の自分や、上手にピアノを弾く友だちをうらやましげに見ていた思い出ばかり。だからつい、「プールがこわくても、もっとがんばりなさい」と、子どもに厳しい口調になってしまう。
  そんなわが子。初めに覚えた言葉は「パパ」「ママ」「バイバイ」。その次は「ママ、こわい…」。

 文・関千里 絵・田上千晶



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